刻一刻と時間は過ぎていく。
未来は現在になり過去になっていく。
ひとつの流れの中で生まれてくるもの、
少しずつ変化するもの、
また、なくなっていくものたちがある。
時計というものはその流れのアイコンである。
過去から学び、未来へつながっていくための
現在にふさわしい時計を作ろうと試みた。
日本の実直なものづくりを原点とし、
「日本製」に拘り抜いた。
職人たちが作る道具のように、
時を計る道具としての時計。
単純に装飾を排除したミニマルではなく、
長い時計の歴史の中で培われたディテールを学び、
現在の道具としてのシンプルを目指した。








両側から複合Rに削り出されたガラスは、ケースへとシームレスに繋がっていく。
そのカーブに沿うように文字盤にも少しの膨らみを持たせ、シンプルながら、愛嬌のある顔が生まれた。
裏蓋、リュウズにもわずかな膨らみを持たせ、ケースと同様の仕上げを施した。
時間を合わせる為にリュウズを触ると、磨き抜かれた金属の優しいカーブが手に馴染む。
ふくよかなカーブは周りの光を優しく反射する。


個体それぞれにシリアルナンバーを刻印。
製造順にナンバリングされ、同じ番号の時計は存在しない。
「僕は、擦り傷のついたステンレスを美しいと思うけどね。」
かのスティーブ・ジョブズは言ったという。
多くの時計が裏蓋には使用中の傷が目立たないようにヘアライン加工を施しているが、この時計はピカピカに磨いてもらった。
ずっと肌に触れている裏蓋にできていく傷が、この時計と共に過ごした時間を刻んでゆく。
くるくると光にかざしてみると、丁寧に磨かれた鏡面の上を、周りの景色が滑っていく。
裏面にだけ記されたブランド名、スペック、そしてあなただけのシリアルナンバー。
謙虚に配された文字が、光の加減で浮かんでは消えてゆく。

